「雨 振ってきましたね」
「ねぇ あっ傘はお持ちですか?」
「家がすぐ近くなので
傘なんかなくても大丈夫やからね」
「よかったら入っていてください」
13日の午前中
私は歯医者さんの帰りに
バス停で、バスを待っていました。
前の横断歩道から
歩いてこられた
70代の女性と
私はこんな会話をしていました。
この方の自宅はバス停のすぐ後ろ側にあって
傘に入ってもらった時間もたった数十秒でした。
そんなことをしていて
ふとあることを想い出していました。
高校3年生の時
自宅前のバスを降りる際
急に激しい雨が降り出しました。
すぐに止むだろうと思いながら
私は軒下で、雨が止むのを待ちました。
バス停から自宅までは
走れば30秒もあれば着きます。
ただその日は
親に買ってもらったばっかりの
ダウンジャケットが濡れるのが
嫌で仕方なかったからです。
「どうぞ傘に入ってください」と
50歳ぐらいの女性が声を掛けてくれました。
「すぐそこなんで
大丈夫なんです。
もうすぐ雨も止みそうだし・・・」(私)
「服 濡れるのが嫌なんでしょう?」
「はい まぁ~」
私はその女性の傘に入れてもらって
自宅に送ってもらいました。
「ありがとうございます。
本当に助かりました」
私は簡単な挨拶だけをして
家に入りました。
別の日にまた逢えたら
お礼を言おうと思っていましたが
もうその女性と逢うこともありませんでした。
せめて、お名前だけでもお聞きしていたらよかった。と
あとで思いましたが
高校生の時の私は今以上に気の利かない男でしたから
お礼の言うのが精一杯でした。
もう30年以上も前のことになります。
雨が降ると想い出すことがあります。
いろいろと・・・・
「雨が降ると、優しくなれる」
冷たい雨が
私を温かくしてくれます。
もっと
もっと
優しい人になりたいですね。
雨が降らなくても・・・