されどコピー1枚

「コピーをとらせたら
 仕事ができるかどうか
 すぐにわかるよ。
 人に対しての心配りがあるか
 どうかが一瞬で見分けられる」

この言葉は、私がまだ20代の頃
ある経営者(I社長)に教えてもらったことです。

当時は「なるほどそんな見方もあるのか?」ぐらいの
感じで話を聞いていました。

ただそう言われると
そのことを意識するものです。

そして、何人ものコピーの取り方を見て
I社長の言われていたことは
基本的に正しかったと確信しました。

私のオフィスにもアルバイトの方々が
来てくれます。

正直なことを言うと
はじめからコピーを取るのが上手な方は
あまりいらっしゃいません。

コピー機そのものに慣れていないですからね。

「こんな場合、写真モードにすると綺麗になるよ」

「これ右に寄り過ぎているよね。
 こうしたらちょうどセンターになるよ」

このような感じでアドバイスしています。

「あっなるほどそうします」と言いながら
すぐにできる人は
確実に仕事もできるようになりましたし
なぜかそこで、しようとしない人は
それ止まりだったことを覚えています。

以前、ある方と打ち合わせしました。
広告代理店に出す書類のチェックを頼まれました。
提出書類の中には
パソコンのプリントアウトのものと
写真などをコピーしたものがあります。

パソコンのプリントアウトに関しては
何の問題もなかったのですが
コピーは写真のところか黒く滲んでいて
とても見にくい状態になっていました。

さすがに提出書類が
これでは問題がありました。

「コピーする時に
写真モードっていく機能があるので
そのモードを使うだけで
コピーが綺麗にとれますよ」と
私はその方にアドバイスしました。

「柳本さんはデザインの仕事とか
 しているから、コピーの出来栄えと
 気になるんですね。
 私はそんな仕事はしていないので
 コピーは文字が読めればいいんです」と
言い返されたことがあります。

I社長に言われたことを
思い出しました。

「何も教えないのに
コピーが綺麗にとれる人は
 意外といないもので。
 でもひと言、アドバイスした時に
 きちんと耳を傾ける人は
 可能性があるし
 それが出来ない人は
 全く可能性もない。
 たかがコピー1枚と思うんやろな。
 されどコピー1枚と気づかん人は
 残念や。
 人間、素直が一番やから」

本当に大事なことですね。

こういったことを
私も伝えていきます。