随分と前のことです。
私がまだデザインの仕事を主に
していた時のお話です。
アルバイトのA君に
パネルに、シールを貼る仕事を
頼みました。
詳細は省きますが
通常、一枚の作業時間は数分です。
「できた・・」(アルバイトA君)
「ありがとう、
じゃ次は、パンフレットに
価格表を入れて、300部
セットしてもらえる?」(私)
「いや、一枚できただけで
あと四枚残ってて・・・」(アルバイトA君)
「うそ? もう1時間近く
経ってるやん?」(私)
「はい、そうですけど・・・」(アルバイトA君)
「そのパネルやけど
一枚、1000円で納品するねん。
パネル自体の原価が500円やから
あなたのアルバイト代の
時給800円を乗せると
原価で1300円になるやんか。
原価より、安い値段で納品せなあかんし。
別にこの仕事で、儲けようと
思ってないけど・・・
他の人が5分か6分で出来ることを
1時間も掛けていたら、あかんわな。
もし、仕事を出来高制やったら
あなたのお給料は
他の人の1割になるで。
10倍の時間が掛かってるんやから」
「いや~今まで、時間とか
出来高とか、仕事に関して
そんなことを考えたことは
ありませんでした。
仕事って、そういうことなんですね」
A君は、驚いたように
私にそう言いました。
おそらく、今までは
1時間、なんとなく作業をしていたら
800円がもらえるとか
思っていたのでしょうね。
この感覚が当たり前になったら
大変です。
企業はこのような人を
雇おうとは思いませんから。
彼ですが、半年ぐらい
アルバイトとして、弊社で
働いてくれていました。
彼なりにスピードアップの仕方を考えて
行動するようになりました。
フリーター歴の長い人でしたが
無事次の仕事も決まりました。
彼はその次の会社で
ある部署の所長も
任されるようになっていました。
彼は頑張っていたようです。