「兄弟、仲良うしいよ」

「お母さんも起きてるな」(母)

「ええよ、お母さん朝早いし」(私)

「ええんよ。シュウが頑張ってるに
 お母さんもすることがあるから」

私が小学校の頃
夜、勉強していると
隣で、母が裁縫などをしながら
私の勉強が済むのを待ってくれていました。

実家は建築会社をしていました。
高度成長期のあの時代
朝7時に現場に入るのが当たり前でした。

従業員の方々のお弁当を作らないと
いけない母はいつも午前3時半には
起きて、食事の支度をしていました。

ですからいつもは午後10時頃には
母は床につくのですが
少年時代、勉強も好きだった私は
しばしば夜遅くまで
勉強していました。

母がいつも隣にいてくれて
そのおかげで、自然と勉強もできた感じです。

そんな私も中学に入ると
だんだんしなくなり
中学3年生ではもう学校の勉強も
全くしなくなりました。
今、思えばこれも親不孝ですね。

母はいつも子供ことばかり
考えて生きていました。

母が亡くなる
2日前
「兄弟、仲良うしいよ」と
姉に小さな声で
言ってくれたそうです。

これが母の遺言でした。